活動レポート

2018.07.02 ロストフ Rostow

W杯2018ロシア大会 決勝トーナメント(ベスト16) ベルギー 3対2 日本
Weltmeisterschaft 2018 Russland Achtelfinale Belgien 3-2 Japan

試合を決めた、CK後のベルギーのカウンター攻撃に対する守備

シーン1:本田選手の蹴ったCKを相手GKが直接キャッチし、ボールをデブロイネへ渡した

©️NHK 2018 FIFAワールドカップカウンター攻撃の開始ーデブロイネがドリブルでスピードを上げる
どうプレーするべきだったのか?
 自分達のCKの際に後ろに下がっていた山口選手は一旦ハーフウェイラインを越えてデブロイネの左へ近づき、距離を(十分に)残して戻りながら、デブロイネを右へ導き、さらにドリブルのスピードを遅くさせる。
 このことにより、ドリブルでスピードに乗ろうとするMFデブロイネにスペースを与えず、且つ守備側として次の展開を有利となる方向へ誘導することができる。
 GK川島選手も、あと2〜3メートル前にポジションを取るべきだった。デブロイネからFWルカクへの縦パスが長過ぎた際に備えるためだ。もちろん、デブロイネからのロングシュートにも対応できる高さに居なければならない。

実際のプレーでは、どこがいけなかったのか?
 山口選手は自陣で佇んだままだったため、ドリブルするデブロイネの前には広大なスペースがあり、ディフェンダーに考える時間を与えないために、ドリブルのスピードを上げることができた。また、プレッシャーを受けていないため、目の前の状況を良く観察できる余裕もあり、またどう崩すかの案を練る時間までも十分にあった。
 GK川島選手は、あと2〜3メートル前にポジションを取り、縦パスが抜けてきた事態に備えるべきだった。そのサポートの役目を引き受けたことにより、ディフェンダー3人(山口選手、長友選手、長谷部選手)は、オフサイドトラップも武器の一つとしてベルギーの速攻に対抗できるようになる。


シーン2:ベルギーのMFデブロイネが左(日本のゴールから見て)へパスをした瞬間

©️NHK 2018 FIFAワールドカップFWルカクをオフサイドにしろ!
どうプレーするべきだったのか?
 このシーンで一番肝心なのは、相手FWルカクに付いている長友選手の守備の戦術行動である。この静止画の高さまではルカクを追って行き、ここで突然立ち止まり、ここからは山口選手のサポートに切り替えるべきだった。つまり、ルカクをオフサイドのゾーンへ走りこませ、攻撃に参加できる権利を奪ってしまうということだ。
 長谷部選手もルカクをオフサイドにするべく、長友選手の立ち止まる高さと同じ高さで揃え、戻るのをやめる。もしまだ走る時間に余裕があるのであれば、少し内側へ移動する。
そして一旦オフサイドになって戻ってきた(オンサイドになった)ルカクをケアするのは、彼のフィールドにおける左右の位置により、再び長友選手が面倒を見るのか?、新たに長谷部選手が対応するのか?決めて、実行すればいい。
 しかし、そのための条件は山口選手の守備の戦術行動で、もっとボールへ近づき、そしてやや左側にポジションを取ることでデブロイネのドリブルを右へ誘導すると共に、左側へのパスを出させないようにすることがとても大切である。
 この山口選手の戦術行動により5対3の数的不利な状況を、一つランクアップさせ4対3に持ち込むことが可能となる。日本のディフェンダー3人とは、山口選手、長友選手、それと長谷部選手である。ボールと同じ高さで並走する香川選手とデブロイネを後ろから追っかけている昌子選手は、残念ながらこの瞬間においては実質的に守備に関われる人数として数えることはできない。

実際のプレーでは、どこがいけなかったのか?
 山口選手はボールを持っているデブロイネから遠過ぎ、これでは相手の攻撃方向(ドリブルの方向)を限定することはできない。そして、プレッシャーを与えていないため、ボール保持者は右へも左へもまったく自由にパスを出せる状態に置かれている。
 ちなみに、デプロイネと同じ高さで少し離れて並走する香川選手は、並走するもののボールまで遠いため、パスを阻止することもできないし、ドリブルの方向を限定することもできない(これはCKを取られた瞬間のポジション取りから来ているため、致し方ない)。
山口選手がデブロイネを迎えに行き、戻りながら右(自ゴールから見て)へ誘導していたら、右側には二人の相手選手がいるものの、長谷部選手が彼らよりも低いポジションで下がりつつあるため、もし仮にデブロイネがそのどちらかの選手へボールを渡しても、長谷部選手が対応できていた。もちろん状況は決して良くなく、右サイドだけで考えても、ベルギーは2対1で数的有利な状況が続く。
 一方この後実際の試合でそうなった通り、デブロイネから左へパスを出されると、どフリーで相手選手がボールを持つことになり、5対3の数的不利な状況のままである。

考察点

 ベルギーのGKがボールをキャッチしてから、素早くボールはゲームメイクすることのできる選手であるデブロイネに託された。そしてボール保持者以外に、3人もの選手が同時にスプリント(攻撃に参加)した。
 もちろん、最後のチャンスと思っての行動であるし、本来ゴール前に居るべき守備の要であるCBの二人、吉田選手と昌子選手がCKのヘディング要員として後ろを留守にしているのであるから、攻めてみる価値があるシーンであることは、至極当然のことである。
ただここで、見逃してはならないことがある。それは、ベルギーのFWルカクの走り方である。彼はわざとオフサイドになる深い位置へ、長友選手を引っ張っていったきらいがある。ベルギーの選手全員が、そのことを周知していたと思われる。

「日本のディフェンダーは、我々をオフサイドにすることはなく、我々が縦に深い所へ行けば行くほど、いくらでも付いてくる」

 このことを、日本代表の試合をスカウティングして、チーム全員で認識していたと思われる。だからこそ、ルカクは斜めとはいえ、かなり深い所へ走り込み、チームメイトも3人猛ダッシュで付いてきた。そして、ボールを持ったデブロイネは、日本の守備陣に時間を与えないため(あるいは、試合の残り時間との戦いから)、ドリブルのスピードを上げた。

 日本の守備の盲点を突いてきたわけだが、この守備における悪しき習性は単にA代表だけではなくオリンピック代表でも引き起きるプレーで、要は日本のチームがオフサイドを守備の最終兵器としては考えていないことがうかがえる。
 参考に見てもらいたいのは、リオデジャネイロオリンピックに備えて行われた国際親善試合、2016年7月30日に行われたブラジルとの対戦のビデオである。
ブラジルの1点目、FWガブリエル・バルボサのドリブルからのゴールを見てもらいたい(2分20秒〜、実際の試合では33分)。CB植田選手がブラジルのFWに付いて行くことに専心したため、あろうことかドリブルしてくるバルボサの前を横切りゴール前を空けてしまい、それゆえ悠々とシュートを打たれている。ドリブラーの前を横切ってからシュート態勢に気づいた植田選手は戻り、身体を呈してブロックしようとするが、最終的には植田選手の体にボールが当たってボールの飛ぶ方向が変わり、ゴールへ入ってしまった。

 日本ではこのように、一つの判断要素だけでプレーを決定してしまう選手が多い。世界基準のサッカーは複雑になっていて、複数の判断要素を同時に見ながら、複合の判断基準を基に次に行うべきプレーを決断しなければならない。


おまけのシーン3:デブロイネから左(日本のゴールから見て)へパスが出された

©️NHK FIFA 2018ワールドカップ山口選手は、一体何をしたの?
 デブロイネが出したパスを、どフリーな選手がボールを受ける。守備にとっては最悪の事態である。
 5対3の数的不利な状況のまま、日本代表チームはボールにも人にも、どちらにも付けていない。そして、ゴールは近い!

 日本はこの状態にならないための守備戦術を身に付けなければならない。小学生から戦術眼を養い、磨き、瞬時の判断で、個人ではなく、グループとして攻撃に対抗して行動できるようにしなくては、世界基準には追いつけない。


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2015.03.15-18 ミュンヘン München
認定特定非営利活動法人クラブネッツ副理事長の水上博司(日本大学 文理学部体育学科 教授)氏が3月15日〜18日、スポーツ社会起業家のための起業塾「スポ根バレー」の延長戦となる「ドイツ編」(来年3月開催)の下見のため、スポーツ講習施設オーバーハッヒングに宿泊してミュンヘンのスポーツ施設を視察して回った。Als eine Vorbesichtigung der Ausbildung „Spocon Valley in Deutschland“, die nächstes Jahr in München für die Führungskräfte im Verein stattfinden wird, kam Hiroshi Mizukami, der der 2. Vorstand beim eingetragenen Verein „clubnetz“ im Amt ist, am 15.03.15 nach München und übernachtete 3 Nächte bei der Sportschule Oberhaching.


2014.03.03-04 ミュンヘン München
立命館大学サッカー部の二人が、ブンデスリーガ公式戦バイエルン・ミュンヘン対シャルケ観戦ツアーに参加。それを補足した形で、ミュンヘンでのサッカー・プチ留学を体験しました。
2 Spieler bei der Universitätsmannschaft von Ritsumeikan nahmen eine Reise nach München, in der man ein Bundesligaspiel FC Bayern München-FC Schalke 04 in der Allianz Arena anschaut, teil. Anschließend machten sie 2 Trainingseinheiten beim SV Heimstetten mit, unbedingt selbst in Deutschland Fußball spielen zu wollen.


2015.03.02 ヴォルフラーツハウゼン Wolfratshausen
入間市とヴォルフラーツハウゼン市の28年以上にも渡る姉妹都市国際交流を基軸に、ヴォルフラーツハウゼン市内のサッカーチームが入間市へ遠征する際のことに関して、ヴォルフラーツハウゼン市長であるクラウス・ハイリングレヒナー氏を市役所へ訪ねた。Clubs Association möchte für die Vereine aus Wolfratshausen ein Trainingslager in Iruma planen. Der Koordinator besuchte das Rathaus in Wolfratshausen, direkt den Bürgermeister ein paar Fragen zu stellen, wenn eine Fußballmannschaft nach Iruma fliegt.